伊勢の天然記念物 蓮台寺柿

蓮台寺の干し柿

伊勢の天然記念物 蓮台寺柿
10月8日未明に、非常に強い台風18号の強風が吹き荒れた。幸いファームのビニールハウスは森に囲まれ無事だったけれど、収穫期の蓮台寺柿は風に揺さぶられ、柿の木の下一面に柿の実がころがっていた。
蓮台寺柿は、伊勢の内宮と外宮との間の限られた地域でしか栽培されていない、多角形で厚みのある平柿で、ほとんどが地域で食され、あまり広くは出回らない。もともとは渋柿で、収穫した柿を炭酸ガス燻蒸庫で一昼夜かけて脱渋すると、独特の甘みをもつ伊勢の名物ができあがる。果肉が緻密でやわらかく、甘味がとろける逸品なのだ。

ひなたぼっこファームに遊びに来る、農家仲間にもそんな蓮台寺柿農家がいる。
彼の柿畑も、台風の被害に会い、がっくりきていた。
一年間、肥料を与え、選定、病害虫の駆除、下草刈りなどを繰り返した結果がこれでは、立つ瀬がない。木を見るとそれでもまだまだ強風に負けずに残っている実があることから、いかに多くの実がなっていたかがわかる。
毎年、蓮台寺柿を楽しみにしていた私は、枝に残っている柿を見てほっとしたが、彼は、風に揺られて表面の皮が傷ついているから、4~5日もすれば黒くなってくるという。
見た目が悪ければ、中身に問題がなくても売れない。それは植物の世界でも同じこと。
これはもう干し柿にするよりしようがない。
彼の畑は小高い山の上に位置し、太陽の光をどこよりも多く浴びた甘味の強い立派な柿ができる。さえぎる物のない地形は、台風の直撃を受けてしまったけれど、数年前から彼の干し柿作り研究を見てきた私は、彼の干し柿が抜群に美味いことを知っている。
じゃあ、干し柿をひなたぼっこで売ろう。
毎年、ババがババ友達に頼まれて、冬の間中発送、配達に忙しいほどの干し柿を。
翌日から、やけくそからかふっきれたのか、彼の干し柿作りが始まった。
ガハハとよく響く笑い声と、得意の毒舌が冴え渡るようになった。

■干し柿の販売はこちら >>>  伊勢自慢!蓮台寺柿の干し柿

干し柿作り

柿の皮むき
大きな柿なのでカットして作る
手作業で丁寧に残った皮を取り除く
乾燥していい色になってきた

干し柿作りが始まると、親類、近所の人など、多くの人が集まる。
みんなが分担して手作業で進めていく。もちろん井戸端話もにぎやかだ。
柿の皮むきに始まり、大きな蓮台寺柿を4等分にカットする。大人の手のひら程もあるどっしりと大きい立派な柿だ。
カットされた柿は、一つ一つ丁寧にチェックされ、芯や残った皮を取り除かれていく。
あとは再び太陽の光と、冷たい風を受けて、おいしさをぎゅっと濃縮するように乾燥するのだ。乾燥すると徐々に色濃くなっていき、糖分が染み出して結晶することで白く粉が吹く。
甘味も旨味も栄養度も満点の、伊勢自慢の蓮台寺柿の干し柿ができあがるのだ。

ババ友からの贈り物

蓮台寺柿のくびれ自慢
毎年ババは、蓮台寺柿の季節になると、柿や干し柿を友人たちに頼まれ、配達と称した井戸端会議に出かける。話に花が咲いて、お腹がよじれるほど笑うらしい。
そんな中、今年の柿を送った遠くの友人から思いもかけない贈り物が届いた。
「やっぱり蓮台寺柿はおいしいなぁ」そんな喜びの言葉とともに。
この地域では、柿といえば蓮台寺柿。他の柿とは比べたことがないから「くびれ自慢」とは考えもしなかった。

確かに、蓮台寺柿は大きく房が盛り上がってでこぼこしている。
どちらかといえば筋骨隆隆な力強いイメージだったが、くびれ自慢と言われれば、なんだか魅力的な曲線美のようにも見えてくる。
そんな眼からウロコの嬉しい贈り物。田中大先生ありがとう。

"ひなたぼっこ" について
店長10年以上前の写真ひなたぼっこは、ジジとババの2人で切り盛りする小さな園芸農家です。大量生産できない代わりに、ちょっと珍しい変り種ばかりを育てています。 生産量が少ないため、なかなか全国へ流通しない、ひなたぼっこ自慢の植物をご紹介します。
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